窓(サッシ)選びのポイントは、プランニングに適した使い勝手やデザインはもとより、断熱性や遮音性、安全性や防犯性といった性能を確認することが大切です。最近では各メーカーからさまざまなデザインや素材、性能を高めた豊富な商品が提案され、プランに合わせて選ぶことが可能です。ここでは、知っておきたい窓(サッシ)の種類や特徴をまとめてみました。
主なサッシの素材の種類と特徴
窓は、サッシ+ガラスで構成されています。サッシとは、窓の上枠・下枠・たて枠で構成された窓枠の中の框(かまち)と組子のことですが、一般的には窓枠全体を指していることが多いので、通常、窓を選ぶという場合は、サッシとガラスを選ぶということになります。
サッシの主な素材の種類と特徴は下記の通りです。
アルミ
強度もあり、耐候性や防火性に優れた素材。軽量なので、開けたり閉めたりする時に、操作がしやすいのが特徴です。しかし、熱伝導率が高いので、断熱性にやや劣るのが短所。腐食しにくく、サビにも強い素材ですが長期間埃などが付着していると腐食することも。
樹脂
主な材料は、塩化ビニール樹脂。熱伝導率が低く、断熱性に優れる材質。複層ガラスとの組み合わせによって、高い断熱性を得ることができるので、寒冷地(北海道や東北地方など)での使用が多いのが特徴。一般的にアルミよりも強度が弱いので、厚みのある構造に。価格はアルミより高めになります。
木
質感や風合いが魅力の木製サッシですが、腐食や磨耗などの耐久性にやや劣るのは否めません。無垢材だけを用いたもの、集成材・積層材を用いたもの、それらを組み合わせたものなどもあり、それぞれ、木製サッシのデメリットである、経年による塗装の劣化や腐食、木の狂いなどを克服するための工夫がなされています。木材を充分に乾燥させたり、特殊な構造で気密性などを高めた製品もでてきています。
複合サッシ
最近、種類も増えてきたのが異なる素材を組み合わせたサッシ。室外側にアルミ、室内側に樹脂や木を組み合わせるなどしたもの。それぞれの素材の特徴を活かした製品がでています。
多種多様なサッシデザイン
サッシのデザインや形状にはさまざまなタイプがあります。引き違い窓や上げ下げ窓、内倒し窓やすべり出し窓。出窓やルーバー窓、トップライトなど数多く製品が出ているので、間取りや好みに合わせて自由に選ぶことができるでしょう。
最近では、開口部を広く取ることのできる窓、丸型や正方形、細めの長方形などのデザインも増えています。いくつか並べ、外観デザインのポイントとしたり、プライバシーを保ちつつ採光や通風を確保するケースも。FIX窓とすべり出し窓などをいくつかを組み合わせた商品提案もみられます。
選ぶ際に注意したいのは、開閉のスペース。たとえば、引き違いの窓は開閉時にスペースは生じませんが、開いて開けるタイプの窓は開閉スペースが必要になります。また、外部からの見え方、室内側からの見え方、両面から検討することを忘れずに。商品によっては、サッシ枠の色も多様なものが揃っているので、外壁やインテリアに合わせて選ぶようにしましょう。開閉方法の使い勝手や網戸の形状、お手入れ方法などについても事前に確認することを忘れずに。
ガラスの種類も豊富に
サッシに組み込まれるガラスにもさまざまな種類があり、組み込むガラスによって窓の性能が大きく変わってきます。
ガラスの種類は、大きく分けて一般ガラスと機能ガラスのふたつ。一般ガラスは、「フロート板ガラス(透明ガラス・単板ガラス)」や破損しても破片が飛び散らないように、金属網を封入した「網入板ガラス」、ガラスの片面に型模様をつけた不透明の「型板ガラス」、ガラスの片面に珪砂などで摺り加工をした不透明 な「すり板ガラス」など。
機能ガラスは、2枚または3枚の板ガラスの間に、乾燥した空気の層を封入することで断熱性を高めた「複層ガラス」、衝撃強度、曲げ強度を高めた「強化ガラス」、割れても飛び散ることがほとんどないという特徴を持つ「合わせガラス」と呼ばれるものがあります。
また、「複層ガラス」にもいくつかの種類があって、「高断熱複層ガラス」「遮熱複層ガラス」などが挙げられますし、いわゆる「防犯ガラス」や「防災ガラス」と呼ばれるものは、「合わせガラス」のひとつになります。
設置する場所、空間に合わせ必要な機能を持つガラスを選ぶようにしましょう。
機能が高まるサッシ
高気密・高断熱の住まいが増え、断熱性能を向上させた断熱サッシへ要望も高まってきています。多くみられるのが、複層ガラスを組み合わせ断熱性能を高めたサッシ。たとえば、室内側と室外側のアルミサッシの間に特殊な部材を挟んだり、室内側のサッシを木製や樹脂としたものなどを用いるなど各メーカーごとに工夫がみられます。
また、ユニバーサルデザインを施したサッシも出ています。開閉操作がラクにできるように把手が工夫されたもの、指はさみを防止したもの、下枠レールをフラットとすることで室内床との段差をなくしたものなど、誰にとっても使いやすい細かな工夫がなされた製品が増えてきています。その他、鍵を外から見えにくい場所に設置したものやボタン(ダイヤル)錠付きクレセントなど、防犯効果が期待できる商品も出てきていますし、サッシ枠をスリムにし、ガラス面積を広げ、すっきりとしたインテリアを実現するものなどもあります。
このように窓(サッシ)には、多くの種類があるので、使う場所、目的に合わせて選ぶことが大切です。住まい全体のプラン、窓にどんな機能を必要とするのか、設計担当者と相談しながら地域性や用途に合わせて選ぶようにしましょう。
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